未成年者でも所得があれば確定申告が必要となります。なお、住民税には、所得税とは異なり、一定の条件のもとに非課税規定があります。

未成年者の所得税

所得税法では、未成年者に関する特段のルールはありません。
所得に関しては、通常どおり、給与、不動産、配当、事業、雑など、その種類に応じて計算します。
所得控除に関しては、未成年であると学生である可能性が高く、勤労学生控除の適用が考えられますが(所得の種類によっては適用対象外)、この控除も含め、未成年であることを理由とした控除というものはありません。所得控除についても、通常どおりに適用の可否を判断します。

住民税の非課税規定  

課税所得がある場合、地方税である住民税(道府県民税と市町村民税)も課税されます。課税所得の計算方法は所得税の場合と基本的に同様ですが(一部、相違はあります)、所得控除の額は住民税の方がやや小さく、このため住民税の課税所得は、所得税の課税所得よりやや大きくなるということが多いです。

ただ、住民税には、一定の条件にあてはまる人について非課税とする規定があります(地方税法第24条の5、第295条)。未成年者については、前年の合計所得金額が135万円以下であれば住民税(厳密には所得割と均等割)を課さないとされています(その年の退職所得に対する分離課税の税額は除く)。
ここでいう合計所得金額というのは、総所得金額(損失の繰越控除等の適用前、分離課税の所得以外の各種所得金額の合計)、分離の上場株式等配当所得金額、分離の譲渡所得金額、分離の株式等の譲渡所得等の金額、分離の先物取引の雑所得等の金額、退職所得金額、山林所得金額の合計をいいます。

配当割を課された配当等や株式等譲渡所得割を課された株式等の譲渡所得金額について申告不要を選択した場合には、これらの金額は上記の合計所得金額には含まれないことになります。これらの所得について、住民税において、所得税とは異なる課税方式を選択することも可能となっており、該当する所得がある場合は、住民税、所得税でそれぞれの課税方式を採用した場合の影響を検討する必要があるでしょう。

親の所得税等への影響

未成年者に所得が生じて確定申告が必要になった場合、所得がそれほど大きくなければ、仮に所得税や住民税の税額が発生してもそれ自体は問題にならないような金額であるかもしれません。
それよりもむしろ、子に課税所得が生じることで、親の方の扶養控除やひとり親控除の適用要件を満たさなくなり、親の所得税、住民税の増加額が大きいケースも考えられます。

その他の影響

さらに、社会保険料への影響も考えられます。親に扶養されている子であれば、通常は親の社会保険でカバーされていますが、子に収入や所得があることで、保険料の負担が増加することもありえます。
また、世帯の所得が各種の給付や行政サービスの利用に影響することもあり、状況によっては、こうした面での負担の増加が非常に大きくなることもあるようです。

 

未成年者であると、親を含めた世帯全体での所得や負担を強く意識させられます。実際に関与しているケースでは、申告の内容自体はやはり成人に比べてごくごくシンプルなのですが、税金以外への影響が大きいという点で、所得の計算にも相当に気を使います。