外国のパートナーシップのパートナーとなっている場合、消費税のインボイス制度開始に向けてどのような対応が必要となるのでしょうか。
パートナーシップ契約の条件によりますが、日本の民法による組合に類似するものであれば、消費税法に新たに民法の任意組合等に関する規定が置かれています。
インボイス制度に関連して、民法の任意組合、投資事業有限責任組合、有限責任事業組合、または外国の法令により設立された団体でこれらの組合に類似するものについては、2023年10月1日から新たな規定(消費税法第57条の6)が追加されることとなっており、組合等の事業として行った取引に係る適格請求書を発行するのに要件があります。
第一は、組合員の全員が適格請求書発行事業者であること。第二に、その旨を記載した「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を、業務執行組合員等が代表して、その納税地の所轄税務署長に提出すること。
これらの要件を充足すると、届出書の提出日以後に行う取引について、適格請求書を発行できることになります。
なお、組合員の全員が適格請求書発行事業者である、という要件を充足できなくなった場合、具体的には、適格請求書発行事業者でない組合員を新規加入させた場合、あるいは、いずれかの組合員が適格請求書発行事業者でなくなった場合、こうした状況に該当することとなった日以後の取引については、適格請求書を発行できなくなります。(業務執行組合員等はその旨を納税地の所轄税務署長に提出することも必要です。)
つまり、任意組合等の構成員としてその事業に関与している事業者は、組合等の事業として適格請求書の発行が必要なのであれば、適切なタイミングで登録を行い、その後も登録を維持する必要があります。適格請求書発行事業者となるのは、あくまでも組合員等の各事業者であり、任意組合等が適格請求書発行事業者としての登録を受けられるわけではありません。
「任意組合等の組合員の全てが適格請求書発行事業者である旨の届出書」を提出後、任意組合等の事業として行った取引について適格請求書を発行する際には、適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録番号として、全組合員の情報を記載するのが原則とされています。ただ、以下を記載することも認められていますので、実務上は、こちらが採用されるケースも多いと思います。
1)いずれかの組合員の氏名または名称及び登録番号
2)任意組合等の名称
また、適格請求書の写しの保存は、交付した組合員が行うことになります。