国税の還付税額を、他の未納税額に充当したい場合に提出する「充当申出書」。申出書を提出しなくても充当されるケースもありますが、充当されずに還付がされてしまうケースもあります。

 

1.還付金の充当申出書

国税の異なる税目について、一方は納付をしなければならず、同時に他方では還付金が生じることがあります。私自身、法人税と地方法人税でこうした状況となるクライアントがあり、確定申告書に充当申出書を添付して提出しています。
納付手続きに比べて一般的でないこともあり、以前に手続き方法などを記載しました。(還付金の充当申出書 https://scenery-ta.com/tax-refund/

2.申出書を提出しないと、充当されなかったり、充当されたり

この3月までに申告を行った2020年12月期の法人税確定申告では、地方法人税の税率変更の影響もあったのか、法人税が還付、地方法人税が納付という状況になった法人が通常より多く見られたように思います。こうした状況で、充当を意図していたのに充当申出書を提出しなかったケースが、私の周囲で何件かありました。一方が未納になっていれば充当されるはず、と考えていたそうです。
結果として、充当がされなかったケースがあり、還付金入金後に改めて納税が必要になりました。このケースでは申告期限より早く申告書を提出し、還付の処理も申告期限を待たずに開始されたことから、未納税額については納期限未到来で充当の対象とならなかったとのこと。
一方で、充当申出書なしでも充当されたケースもありました。とはいえ、処理した税務署によると、法人税と地方法人税という別々の税目がたまたまタイミングよく処理された、運のよいケースだったようです。

充当申出書を提出するのは、納期限が到来する前の税額について、予め納税者側から充当を申し出る場合に書面による申出が必要とされているためです。税務申告は通常、期限前に行い、申告時点では納期限は未到来ですから、申告した税額につき充当を希望するのであれば申出書の提出が必要ということになります。税務署側の還付の処理が納期限後にされるのであれば、申出の有無に関わらす、自動的に充当がされることになるはずですが、充当申出書の提出により、還付の処理がいつであれ、スムーズに確実に処理されることになります。

3.充当申出書の記載事項

以前にも記載した内容となりますが。充当申出書は決まった書式があるわけではありません。「充当申出書」として、以下の事項を記載して作成します。

  1. 提出先
  2. 提出日
  3. 納税者の詳細(納税地、住所等、法人であれば名称、代表者氏名、ある場合は納税管理人など)
  4. 税理士氏名、連絡先
  5. 還付金を納付税額に充当したい旨
  6. 納付税額の詳細(税目、金額、事業年度等)
  7. 還付金の詳細(税目、金額、事業年度等)