新型コロナウイルス感染症の影響により事業収入が減少した中小事業者向けに、固定資産税、償却資産税の軽減措置が設けられています。令和3年分(2021年分)の償却資産申告の時期となり、特例措置を具体的に検討したところで、改めてポイントに触れたいと思います。

申告期限は2021年2月1日

軽減を受けるためには、“特例申告書”(「新型コロナウイルス感染症等に係る中小事業者等の事業用家屋及び償却資産に対する固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例措置に関する申告」)を上記の申告期限までに提出する必要があります。対象となる資産が償却資産の場合は、例年どおりの償却資産申告書の提出と併せて行います。

収入減少は前年の同時期との比較で判定

収入(売上)減少の判定は、2020年2月から10月までの期間のうち、任意の3か月間を選び、前年(2019年)の同時期と比較して、50%以上あるいは30%以上減少しているか、により行います。

2019年の9月以降に不動産賃貸業を開始したクライアントの例ですが、テナントの申入れに応じて2020年5月から7月の間の賃料全額を免除していたものの、前年の同時期には賃貸を開始していず、賃料収入自体がない状態であったため、収入減との判定とはなりません。賃料免除後の2020年8月分以降はテナントからの賃料支払が再開しており、やはり収入減とはなりません。

2019年中に新規の事業を開始した事業者の場合、同様の状況が考えられると思います。東京都23区では、この特例制度に関するコールセンターが設けられているため、念のため確認してみたところ、上記のように、前年の同時期との比較で一定割合の減少がない場合はコロナ感染症の影響による収入減少であるとの判断ができないため、特例の対象とはならない、との回答でした。

税理士等の確認が必要

特例申告書の内容は、認定経営革新等支援機関等の確認を受けて、申告書にその記名・押印を受ける必要があります(eLTAXにより電子申告する場合、押印は不要とされました)。申告期限までに、この確認も受けたうえで申告書を提出するという段取りとなりますので、償却資産申告を自社で行っている場合、あるいは償却資産申告の対象とならない、土地や建物について適用を受ける場合は、注意が必要と思われます。

なお、認定経営革新等支援機関のほか、各地の都道府県中⼩企業団体中央会、商工会議所、商工会、税理士、公認会計士、中小企業診断士、青色申告会なども確認を行うことができます(「認定経営革新等支援機関等」の「等」にあたります)。上記以外にも確認を行える機関があり、中小企業庁のホームページにて「認定経営革新等支援機関等の一覧」が公表されています。(https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2020/200501zeisei.html

 

今回の特例措置は中小事業者向けであり、一定規模の企業は対象外となっています。中小であっても、そもそも固定資産をほとんど保有していない、あるいは収入減少の要件を満たさない、など、実際に適用を受けるクライアントはなさそうだったのですが、先日、時々利用している飲食店のオーナーからご相談があり、確認を行いました。