本年の税制改正により、財産債務調書制度につき見直しがされました。適用開始は2023年分からと、もう少し先になります。

提出期限

その年の財産債務調書について、翌年6月30日までが提出期限とされました。
現行は翌年3月15日です。
また、国外財産調書についても、翌年6月30日までの提出期限に改正されました。

提出義務者

提出義務者の範囲が拡大されました。
改正後の提出義務者は、現行の提出義務者((1)及び(2))に(3)が追加となります。

(1) 所得税の確定申告書を提出すべき者または提出することができる者で、その年の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円超、かつ、その年12月31日時点で保有する財産の価額の合計額が3億円以上の者

(2) 所得税の確定申告書を提出すべき者または提出することができる者で、その年の総所得金額及び山林所得金額の合計額が2,000万円超、かつ、その年12月31日時点で保有する国外転出時課税の対象財産(注)の価額の合計額が1億円以上の者
   (注)国外転出時課税の対象財産とは、所得税法第60条の2第1項から第3項までに規定する財産で、
     有価証券等、未決済信用取引等、未決済デリバティブ取引に係る権利をいいます。

(3)  その年12月31日時点で保有する財産の価額の合計額が10億円以上の居住者

いずれのケースも、提出期限までに死亡した場合には提出不要となります。
相続のあった年分の財産債務調書については、相続または遺贈により取得した財産を除外して制度の適用を受けることができます。今回の改正で追加となった(3)もこの点は同様です。

適用開始時期

提出期限、提出義務者の改正とも、2023年分(令和5年分)以降の財産債務調書より適用されます。

その他

財産債務調書の提出が期限後にされた場合、更正や決定を予知してされたものでなければ、期限内に提出されたものとみなす宥恕規定がありますが、これを若干厳密に適用する改正も今回なされています。期限内の提出とみなされずに、加算税が現行より重くなる可能性が考えられます。2024年1月1日以降の提出より適用となるため、2023年分(令和5年分)の財産債務調書からはこの改正後の規定の適用となります。
国外財産調書の期限後提出についても同様の扱いとなります。